06. 極北の地の移動手段

オーロラ大爆発に出会う旅~光が僕を包み込む極上の時間~06. 極北の地の移動手段

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06. 極北の地の移動手段-イメージ1

ブラッチフォードレイク・ロッジをあとにして、イエローナイフに戻った僕らが遭遇したのは、この地ならではの2つの「移動手段」だった。

車が氷の上を走る、と聞いて、具体的な光景をイメージできる日本人はそれほどいないと思う。でも、ストレートにそのままイメージしてほしい。だって、ただ単に氷の上を車が走るだけなんだから。

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冬になってグレートスレイブレイクが氷に覆われると、湖の上に「アイスロード」が出現する。湖を迂回しなければならなかった車は、アイスロードによって最短距離で向こう岸に到達できる。ここでは不思議なことに、冬の方が交通の便がよくなってしまう。

日本では考えられないけれど、ここで生きる人たちにとってアイスロードは欠かすことのできない生活道路だ。

僕らが乗ったブッシュ・プレインと同様、アイスロードもまた、厳しい自然の中で生きてきた人たちが生み出した知恵にほかならない。

ただ、この氷の道にはしっかりとひびが入っていて、車が通りすぎる時、若干、「ミシミシッ」という音も聞こえてくる。車を降りてひびの入った氷の道路を少し強めに踏みしめたけれど、正直いい気分はしなかった。

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先住民の人たちから受け継がれてきたここでの移動手段の1つが「犬ぞり」だ。古くからの重要な移動手段であり、運搬手段だったが、もちろん今は観光やレース競技としての犬ぞりへと姿を変えている。

イエローナイフで、犬ぞりレースの元世界チャンピオン、先住民の血を引くグラントに話を聞いた。

犬ぞりの運転はスノーモービル以上にシンプル。スピードを落としたい時、止まりたい時は、足元のブレーキを踏む。ただそれだけ。グラントによると、あとは「どこに向かえばいいか、犬がすべて知っている」ということらしい。

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もっともそれは、僕ら素人の場合だ。グラントのような本職は当然、犬たちを自在に操る。右に行く時は「ジー、ジー」と声を掛け、左ならば「ホッ、ホッ」。犬たちを褒める時は口笛を吹く。

グラントは7~8歳の頃から犬ぞりを操り、9歳で初めてレースに出場したそうだ。犬とは子犬の頃から共に暮らし、一年中、その顔を見続けている。

「それでも、犬に噛まれたことがあるのでは?」と聞くと、笑い声とともに、「ネバー」という声がかえってきた。

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そりをひっぱる犬の中でも別格なのが、先頭を走るリーダーと呼ばれる犬たち。

リーダーはいつも落ち着いていて、じっと周囲を観察しているという。2列目がポイント。走る方向を修正する役割らしい。

オスとメス、どちらでチームを構成するかで列の数は異なるが、どちらも最後列の犬たちはホイールと呼ばれる。文字通り、パワー自慢がその役割を務める。

「犬が小さなころから教育してリーダーに育てていくのか」と尋ねてみた。

「リーダーは人間と同じだ。(必要な能力は)その犬が生まれた時から持っているナチュラルなものだから、(向かない犬をリーダーに)変えようと思っても、ものすごく時間がかかるんだ」とグラント。

まったくもって耳の痛い話だ。

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