06. 夜のカウタウン

アルバータの物語06. 夜のカウタウン

お気に入りに追加
06. 夜のカウタウン-イメージ1

カウタウンと呼ばれるカルガリーには、夜になると大勢のカウボーイたちが集まるレストランがある。いや、レストランというより「酒場」と言った方が当たってる。

ダウンタウンから少し車を走らせると現れる、牧場の巨大な納屋のような建物が「RANCHMAN’S」だ。

カウボーイやカウガールはもちろん、そうじゃないという人も、とにかく酒を飲み、おしゃべりし、ダンスを踊り、ロデオマシーンにチャレンジするという、まあ説明不要の陽気な酒場だ。

この写真のように、スタッフもみんなカウボーイにカウガールだ。ひどくピントがズレているのは、カウガールの雰囲気にのまれてしまったからだろうか。我ながら情けない。

06. 夜のカウタウン-イメージ2

ふと気づくと、カウガールではなさそうな普通の女性たちが、われ先にとロデオマシーンに挑戦し始めた。

なぜか男性は一向に手を上げず、女性ばかりが次々とロデオマシーンに挑んでいく。女性が先、といった順番でもあるのかもしれない。

06. 夜のカウタウン-イメージ3

このロデオマシーン、われわれ日本人の想像をはるかに超えるほど激しく動き回るのだけれど、女性の挑戦者は後を絶たない。

もしかすると男たちが名乗りを上げないのは順番ではなく、結果次第でその後の立ち居振る舞いが難しくなることを恐れてのことなのかもしれない。つまり、下手をうつと今晩はモテる可能性がゼロになる、とか―。

スカートでマシーンにまたがる女性まで登場したけれど、みんなそう簡単に振り落とされたりはしない。どこかで練習したりしているんだろうか。

06. 夜のカウタウン-イメージ4

こういう時の「度胸」というのは、間違いなく女性の方があるんだと思う。

女性陣の挑戦がひとしきり終わったところで、今度は男性陣が徐々にロデオマシーンに挑み始めた。

確かにロデオの腕は見事なもので、両手を離して牛をコントロールし続けた猛者もいたけれど、彼女たちの潔さを見た直後だったので、いくら上手でもなんだか若干、興ざめしてしまった。

06. 夜のカウタウン-イメージ5

「RANCHMAN’S」は別に若い人だけの店ではない。このページのトップの写真のように、なかなか渋いナイズミドル的な人たちもたくさんいて、グラスを手に楽しくおしゃべりしていた。

こういう年代の人が明るく酒をのみ、ダンスをしたりしているというのは、なかなかいい光景だ。気持ちが若い、という気がする。

なぜか日本の中高年男性というと、サラリーマンの聖地・新橋、あるいは小料理屋のカウンター、あるいは千円でベロベロになれる立ち飲み、みたいなイメージがこびりついているけれど、日本でもこんなふうに格好よく飲める場所が増えるといいなあ、などと思う。

06. 夜のカウタウン-イメージ6

ただしだ、そもそもスーツにネクタイだと、こんなおしゃれな雰囲気を醸し出すことはできない。

喧騒に包まれた「RANCHMAN’S」だけれど、こうしたナイズミドル的な人たちがゆったりと構えているから、店全体に落ち着きが生まれているような気がする。

06. 夜のカウタウン-イメージ7

こんなふうに、ちゃんと家に帰れよ、と声をかけたくなるぐらい盛り上がっていた若い人たちもいっぱいいたけれど、大人たちがいるおかげで、なんとなく大事には至らないような気になるから不思議なものだ。

そうそう、一眼レフをぶらさげた僕を店のオフィシャルカメラマンか何かと勘違いしたらしく、キャーキャーいいながらシャッターを押してくれと頼んできた女性たちもいた。あまり飲み過ぎちゃダメだよ。

06. 夜のカウタウン-イメージ8

さて、実はこの「RANCHMAN’S」、ただの酒場ではない。カルガリーでのロデオ大会で栄冠に輝いたカウボーイたちのトロフィーなどが展示されている博物館でもあるんだ。

目を上げると、栄冠に輝いたカウボーイたちが寄贈したのだろう、立派なサドルが天井からぶら下げられていた。

だから、ここでグラスを傾けることは、ロデオ競技の歴代のヒーローたちに敬意を表す、ということでもあるんだと思う。

なんともカルガリーらしくていい趣向だ。カウタウンに乾杯するために、もう一杯いただくことにしよう。それも大人らしく、ゆっくり、静かに飲むことにしたい。

コメントを残す