04. 太陽の下で

アルバータの物語04. 太陽の下で

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カルガリーのダウンタウンから車で1時間ほど。僕は4代続けて同じ場所で牧場を経営してきたという「Trails & Ranch」にお邪魔していた。

今回の僕の取材のテーマは、誰がアルバータの大地を「拓いた」のかを知ること。

だからカウボーイというか、牧場経営者がどこからやってきて、この土地でどんな歴史を紡いできたのか、そんな話をうかがいたいと思っている。

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ご自宅の前では愛犬が日向ぼっこをしている。その近くでは、ニワトリが太陽の光の下、勝手気ままにトットットットと、動き回っている。

少し離れたところには、ずらりと並んだ干し草ロールがあって、やはり燦々と降り注ぐ日光を浴びていた。

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冬の間、牛たちのエサとなるこの干し草ロール、一見すると枯れ草のようだけれど、その内側は2年ぐらいは緑色のままだってこと、皆さんは知っていただろうか。僕はちっとも知らなかった。

そもそも牛たちは、この外側の枯れた部分は食べないので、牧草地に撒いて堆肥にしてしまうのだという。

この内側に緑色のままの草がしっかりと保存されているなんて、なんとも想像がつかない。それはどんな緑なんだろう。みずみずしい緑色なんだろうか。

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さて、この写真の左側が、この牧場の4代目のRachelさん。お隣が旦那さんのTylerさんだ。2人とも“TVカウボーイ”とは違って、カウボーイハットも服装も本当に自然だ。

あ、それからもう1つ、この取材で初めて知ったことがある。牧場を経営するような方に「牛は何頭ぐらいいるんですか」といったことは、あまり聞かないほうがいいんだそうだ。

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簡単に言ってしまうと、それは「いくら貯金持ってる?」と聞くのと同じようなことらしい。だからTylerさんは、「人が見学などに来ると必ず聞かれるので、その時は何頭持っていると答えているけれど、牧場主同士では牛の数の話はしないですね」と言っておられた。

さて、この牧場の牛たちは、ご自宅から少し離れた丘の牧草地で放牧されているんだそうだ。そして、気候が寒くなってきたらトレーラーで自宅まで運び、牛舎でひと冬を過ごさせる。Rachelさんが車でその丘へと案内してくれた。いるいる。たくさんの牛が呑気に草を食んでいる。

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この丘は、1910年にこの牧場を始めた時に、創業者が購入した土地で、「Trails & Ranch」のルーツとも言える場所だ。

柵を開けてもらって中に入っていくと、牛たちがどんどん近づいてきた。ちなみに柵のワイヤーの2段目には電気が流れているから、と注意された。牧場の取材は初めてだけれど、それにしても知らないことばかりだ。

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そうこうしているうちに、あっという間に牛に取り囲まれてしまった。なんだか人懐っこい。これだけ近距離で牛と面と向かう機会はなかなかない。

Rachelさんによると、ここにいるのはまだ1歳の牛たち。しかし、1歳の牛が太陽の下で牧草を食んでいる、なんて光景は、なかなか見ることができないそうだ。

「多くの牛は、生まれたらすぐに牛舎に移されて、飼料を与えられて大きくなります。そして肉にするのは1歳になる頃。でもうちでは、こうして外で牧草を食べさせて2歳まで育てるんです」とRachelさん。

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アメリカでは牛にトウモロコシを食べさせるのに対し、アルバータ州では本来の牛のエサである牧草を食べさせるのだと聞いたことがある。

しかもこの牧場では牧草を使うだけではなく、2年かけてじっくりと育てるのだという。

太陽の下で、本来食べるべきものを食べて育つ。当たり前のことを当たり前のように続けている。アルバータ・ビーフが美味しいわけだ。

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