10. ティム・ホートンズにおける大いなる誤解

君はまだ本当のカナダを知らない10. ティム・ホートンズにおける大いなる誤解

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僕は以前、ティム・ホートンズの「ダブル・ダブル」に関して、「砂糖2・ミルク2」のことだと書いたことがある。

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「ダブル・ダブル」、少し正確に発音すると「ダボ・ダボ」になるけれど、こう注文すると店員さんがコーヒーに「砂糖2・ミルク2」を入れて出してくれる、これがカナダの辞書にも載っている「ダブル・ダブル」だ、と説明した。

ところがその後の取材で、僕は重大な誤解をしていたことに気づかされることになった。「ダブル・ダブル」は「砂糖2・ミルク2」ではなかった。砂糖は間違いないけれど、店員さんに確認したところ、もう1つはミルクではなく、クリームなんだそうだ。

本当に申し訳ない。取材不足としかいいようがない。ここできちんとお詫びし、訂正しておきたい。「ダブル・ダブル」は「砂糖2・クリーム2」のことであって、クリームでなければ「ダブル・ダブル」とは呼ばない。ミルクとの組み合わせでは決して「ダブル・ダブル」じゃないんだ。

と、ここまで書いてきて、読者のみなさんが、ミルクだのクリームだのと、何を細かいことを言っているんだ、とイライラしておられるような気がしてならないので、少し説明しておきたい。

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実はカナダのコーヒーにおける「ミルク・クリーム問題」は、僕にとっては結構以前から気になっていた事がらだった。

カナダのカフェでコーヒーを注文すると、写真のように青と赤の2種類の、こうした容器が必ず出てくる。この青と赤のコンビは、一般のご家庭にお邪魔した時にも見かけたし、宿泊したホテルの冷蔵庫にも入っていた。かなりの確率で青と赤、2種類セットで登場するんだ。

青には「MILK」と書いてあって、「2%」の文字。一方の赤には「CREAM」、そして「18%」と書いてある。クリームはミルク(=牛乳)から取り出した乳脂肪分で作られるのだから、このパーセンテージは含まれる乳脂肪分の割合だろう。ミルクとクリームの使い分けによって、コクやまろやかさが違うコーヒーを楽しむことができるというわけだ。

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転じて日本のコーヒー事情を思い起こしてほしい。多くの場合、コーヒーに添えられているのは、あの植物性油で作ったコーヒーフレッシュだ。

仮に「本物」を置いてあったとしても、ミルクかクリームのどちらかだけだろう。両方を当たり前のように用意している店なんて日本ではそう多くはないと思う。しかしカナダでは、カフェであっても一般家庭であっても、「本物」のミルクとクリームが出てくるのが当たり前。そしてあろうことか、ティム・ホートンズのようなファストフード店までも、本物のミルクとクリームをチョイスできる。カナダのこの本物志向は本当にすごいことだと思う。

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だって「本物」は要冷蔵だし日持ちもしないので、常温でも平気なコーヒーフレッシュに比べて相当にコスト高になるはずだ。

にもかかわらず、ティム・ホートンズではミルクとクリームを選択することができる。頭の中で、コーヒーフレッシュが当たり前の日本のファストフード店やコンビニとよく比べてみてほしい。カナダの、というか、ティム・ホートンズのすごさが分かってもらえると思う。

さて、ティム・ホートンズの「ダブル・ダブル=ダボ・ダボ」に話を戻そう。この写真のコーヒーカップの蓋に書かれた文字を見てほしい。

例えば「2M」はミルク2、「1S」は砂糖1だ。そして上の「DD」こそが、われらが「ダブル・ダブル」。「2C 2S」なんて書かないんだ、「ダボ・ダボ」は。「DD」って結構、格好いい。

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白状すると、僕は「ダブル・ダブル」なんて言っていても、けっこうおおざっぱに砂糖やクリームを入れていると思っていた。

カップの大きさだって「SMALL」から「X-LARGE」まで4種類もあるし、分量は大体このぐらいかな、みたいないい加減なノリでやっているもんだとばかり思っていた。

でも、ティム・ホートンズにおける追加取材で、僕は店のカウンター内にとんでもない機械を見つけてしまった。写真の中央、ボタンがたくさん並んでいるのがそれ。僕はそれを勝手に「ダボ・ダボ・マシーン」と呼ぶことにした。

お客の注文を受けると、カップの蓋の記載に従って、まずは横にある機械で砂糖を投入する。次に「ダボ・ダボ・マシーン」の登場だ。ミルクかクリームか、そしてカップの大きさに応じて分量がきちんとボタンで区別されている。このページのトップ写真を見てもらえれば「ダボ・ダボ・マシーン」のすごさが分かってもらえるはずだ。

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左の写真では、奥の方で明らかに「ダボ・ダボ・マシーン」からカップへと何かが注ぎ込まれている。

次に店のお兄さんは、カップにコーヒーを注ぎ入れて手早くかき混ぜ始めた。「ダボ・ダボ・マシーン」からこのスピード感あふれるかき混ぜ作業までの流れを、僕は望遠レンズでしっかりととらえることに成功した。

大体このぐらい、みたいにやっているんだろう、などと疑って本当に申し訳なかった。カナダとティム・ホートンズに対する僕の大いなる誤解について、ここでお詫びをし、また訂正もしておきたい。カナダのみなさん、本当にごめんなさい。

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さて、ティム・ホートンズの、そして「ダブル・ダブル=ダボ・ダボ」の謎にここまで迫ったのは日本人では僕ぐらいのものではないか、と密かに自負もしている。まあ、みんなそこまで暇じゃないだけだとも思うけれど。

そしてこのあとは謎を追うのは止めて、カナダディアン・セラピー、ティム・ホートンズをゆっくりと味わうことにしたい。

「ダボ・ダボ・マシーン」のどのボタンがどの分量に相当するのか、というのが実は今ひとつ気になったままではあるけれど、すべてを解明しようとするのもちょっと野暮ってもんだ。

「ダブル・ダブル」の甘さとまろやかさ同様、このあたりがちょうどいい塩梅なんだろうと思っている。

コメント

  • 信長の野望

    締めプティン、文字通り「病み付き」になりそう。

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