07. ティム・ホートンズ編(2) カナダ国民の合言葉

君はまだ本当のカナダを知らない07. ティム・ホートンズ編(2) カナダ国民の合言葉

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ティム・ホートンズの存在を“カナディアン・セラピー”と呼んだアルバータ州観光公社のダーリーン・フェドローシェンさん。好きなメニューは、「メープル・ドーナツ」に「ダブル・ダブル」だと言っていた。

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メープルシロップを使ったドーナツはいくつかある。例えばこの写真は、「カナディアン・メープル」というカナダを象徴するようなネーミングのドーナツだ。

かかっているのはもちろんメープルで、中にはたっぷりのクリーム。どっしりとした甘さであることは、たぶん説明を要しないと思う。

一方、真ん中に穴が開いていてメープルがかかっているドーナツは「メープル・ディップ」。

ティム・ホートンズにはドーナツのほかにも、このページのトップ写真のチリスープみたいなメニューもある。カナダの寒い冬にはぴったりの人気メニューだ。

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朝食にはサンドイッチやパニーニ、ベーグルもある。コーヒーだってオリジナルコーヒーのほかに、深い味わいのダークローストというコーヒーがラインナップに加わり、さらには紅茶やホットチョコレート、冷たいスムージーなんかもある。

そして、ティム・ホートンズの特徴は、なんといっても値段の安さだと思う。

為替レートの問題があるから変動はあるけれど、イメージでいうと数百円でコーヒーとドーナツを手軽に楽しんだり、朝食がとれたりする。こんなところが人気の秘密なんだと思う。

さて、ここまではいいんだけれど、解決しなければならないのはダーリーンさんが言っていた「ダブル・ダブル」だ。彼女は「メニュー」と言っていたけれど、もちろん「ダブル・ダブル」なんてメニューがあるわけじゃない。

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実はこれ、コーヒーに入れる砂糖とミルクの量のことなんだ。

普通のコーヒーショップでは、砂糖やミルクは客が自分の好みで入れるけど、ティム・ホートンズではなぜか、お客さんの注文に従って店員がコーヒーに砂糖とミルクを入れてくれる。だから「ダブル・ダブル」はティム・ホートンズでしか成立しない表現だ。

そしてなぜか、多くの人が決まって「砂糖2・ミルク2」を注文する。

「1-2」でも「2-1」でも、「1-1」でもない。「2-2」の「ダブル・ダブル」なんだ。

ブリティッシュ・コロンビア州観光局のモニカ・リークさんによると、彼女が暮らすバンクーバーのダウンタウンには通好みのカフェがたくさんあって、なかなか競争が激しいそうだ。

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だから、ティム・ホートンズの店舗は他の街に比べるとそれほど多くはないけれど、それでもモニカさんは、「たまにティム・ホートンズに行くと、私もダブル・ダブル!ってオーダーするわよ」と言っておられる。

モニカさん自身、最初は意味もわからずに、ほかの客の真似をして「ダブル・ダブル」と注文していたそうだ。

それが今では、「『ダブル・ダブル』って言葉、かっこいいわよね」とまでおっしゃっている。

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とにかくみんな、「ダブル・ダブル」。「砂糖2・ミルク2」の「2」の単位が何かは分からないけれど、とにかく「ダブル・ダブル」。そして今や「ダブル・ダブル」はカナダの辞書にもちゃんと載っている。こうなるともう、「ダブル・ダブル」はカナダ国民の合言葉と言っていいんじゃないだろうか。

カナダの旅の最中にティム・ホートンズに立ち寄ったら、周囲のみんなが「ダブル・ダブル」と注文するかどうか確認してみてほしい。そして注文の順番がまわってきたら、僕らも言ってみよう。カナダ国民の合言葉、「ダブル・ダブル」を。

さて、「合言葉」と書いたところで、僕はふと1つの言葉を思い出した。カナダで取材をしていると、けっこうな割合で、ある言葉を耳にするんだ。それは、「グッド・クエスチョン」。

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取材の最中にそう言われ、結構鋭い質問だったのかな?と悦に入っていると、カナダの人たちは決まって脱線し、質問とは違う話を始めるんだ。

最初のころは質問を取り違えているのかもしれない、と思っていた。しかし、何度も何度も、違うシチュエーションでも「グッド・クエスチョン」を聞かされるうちに、僕はついに気づいてしまった。

「あ、 知らないんだ」

知らないけれど正直に言うのは照れ臭いので、とりあえず「グッド・クエスチョン」と言ってみる。そして、そのままさりげなく、徐々に質問から遠ざかっていく。

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最初のころは怪訝に思っていたけれど、僕にとっての「グッド・クエスチョン」は今や、お茶目で愛すべきカナダ人の「合言葉」だ。

「ダブル・ダブル」がカナダ国民の合言葉なら、僕は「グッド・クエスチョン」はカナダ国民の「裏・合言葉」だと思う。だって、みんな必ず言うんだよね。

旅の最中に「グッド・クエスチョン」を聞く機会があったら、柔らかに微笑みながら心の中でこうつぶやこう。

「つまらないこと聞いて本当に申し訳ない。でも、あなたとは一歩近づけた気がするよ」-。

コメント

  • Keiko

     この記事を読んで「確かに的を得ている!」と感動した私は、日本人では数少ない一人でしょうか?(笑)娘がアルバータ州に留学しているので、顔を見がてら今まで7回程カナダに行きました。滞在中どの都市を訪問しても、ティムホートンズに行かなかった時はなかったように記憶しています。はっきりと「ダボダボ(double double)」と注文している人の声を何回か聞きました。朝食でもおやつでも軽食でも、一人で入れてリーズナブルに使える有難い存在。一旅行者の私にとっても、カナダ滞在中Tim’sはカナディアン・セラピー的存在です。帰国時の空港での待ち時間も、旅の最後のお別れに必ず立ち寄っています。

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