06. berry berry berry

僕とアンが見つけた14の物語06. berry berry berry

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「これはすごくおいしいいちご水ね、アン。私、いちご水ってこんなにおいしいものだとは知らなかったわ」-(モンゴメリ著/村岡花子訳/新潮文庫刊「赤毛のアン」より)

アンの一番の親友が、「輝く湖水」の近くに住む同い年のダイアナ・バーリー。村岡花子さんの表現を借りると、「腹心の友」ということになる。

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ダイアナを「お茶」に招いたアンは、自分が持っている中で2番目にいい服を着て出迎え、ダイアナもやはり2番目に上等な服で「GREEN GABLES」に現れる。

ここでアンは、マリラがこっそり隠していた葡萄酒を「いちご水」と間違ってダイアナに飲ませてしまう。当然、ダイアナはひどく酔っ払ってしまい大騒動になるという、アンの物語の名場面の1つだ。

原文での「いちご水」は、「Raspberry Cordial」。

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本当はストロベリーではなくラズベリーの飲み物だったんだけど、村岡花子さんの時代、日本にラズベリーなんてあるはずもない。

村岡さん苦心の翻訳が「いちご水」を生み出したんだと思う。

PEIは"berry "のつく果実の宝庫だ。ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリー、クランベリー…

"berry"の中でも日本ではあまりお目にかかれないワイルド・ブルーベリーの畑を見に行くと、なんだかもう、見るからに人の良さそうな、少し「すきっ歯」のおじさんが出迎えてくれた。

「畑」と書いたけれど、「ワイルド」と「畑」はもちろん、矛盾している。

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森に自生しているワイルド・ブルーベリーを見つけたら、周囲の木や草を取り除き、地下茎で広がっていくように促していくのが、この「畑」のつくり方。

10年ぐらいかけて「畑」を広げていくというんだから、実に大変な作業だ。

普通のブルーベリーの高さは腰のあたりらしいけれど、PEIのワイルド・ブルーベリーはせいぜい、くるぶしまで。

地面に張り付くように草が伸び、よく見るとそこに無数の実がついている、という感じ。だから「畑」では気をつけて歩かないと、美味しいブルーベリーを踏みつけてしまうことになる。

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ワイルド・ブルーベリーもジャガイモの収穫と同じように、トラクターに取り付けられた機械によって、地面からすくいあげるようにして摘み取られていく。

葉っぱといっしょに摘み取られたワイルド・ブルーベリーが、ポロポロ、ポロポロと、こぼれ落ちるようにしながら大きなプラスチックのケースにどんどんたまっていく。

収穫はブルーベリー農家同士、助け合って順番に行うんだそうだ。だから、きょうは、あのおじさんの収穫をみんなが手伝ってくれている、ということなんだろう。

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しかし、機械だけではどうしても摘み残しが出てしまう。ここからが、「すきっ歯」おじさんの出番だ。

ちりとりのような形をした、底にあたる部分が櫛の歯のようになっている「秘密兵器」で「畑」をすくうようにすると、ブルーベリーの実だけが中に残る。

なかなかすぐれものの道具だ。しかもおじさん、時々つまんではすくい、すくってはつまみ、という感じで、結構、栄養補給しながら作業を続ける。

話を聞くこちらとしても、何となくブルーベリーをつまみながら、おじさんについて「畑」を歩き回る。いつの間にか随分とご馳走になってしまった。

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食べ続けていて気づいたんだけど、同じ「畑」のブルーベリーでも、白っぽい実だったり、大きさや甘さが違ったりする。

「ワイルド」なだけに、同じ「畑」であっても、つながった地下茎ごとに違う特徴を持っているんだそうだ。

総じて甘さ抑えめでいくらでも食べられる、というのがワイルド・ブルーベリーの印象だ。

収穫後はきれいに洗い、工場で冷凍して出荷するという。凍ったままヨーグルトに入れればすぐに食べられる。パイづくりなんかにも使われるそうだ。

さて、ずいぶんと歩き回り、取材も終わりというところで、おじさんがお土産にと、箱に入った冷凍前のワイルド・ブルーベリーを出してきてくれた。

何キロぐらいあるんだろうか、とにかく本当に食べきれないぐらいどっさり。

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おじさん、本当にありがとう。でもどうやって日本に持って帰るんだ?

僕はどう見たって地元の人間じゃないし、ホテルの冷蔵庫で冷凍したって、その先どうすればいいんだ。

結局、PEI在住の方にそのままプレゼントした。だからおじさん、安心してほしい。

お気持ちだけありがたくいただいておくよ。

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