02. プティン編(1) 愛しい悪魔は真夜中にささやく

君はまだ本当のカナダを知らない02. プティン編(1) 愛しい悪魔は真夜中にささやく

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フライドポテトとチーズカード、それにグレイビーソースからなる高カロリーな食べ物、「poutine(プティン)」。

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日本ではあまり知られていないけど、実はカナダを代表する食べ物なんだ。にもかかわらず、あんまり観光情報には登場しない。まあ、それも当然だろうと思う。

まず、そもそもチーズカードという食べ物自体が日本ではあまり馴染みがないと思う。

チーズカードとは、チーズの製造過程でできる、牛乳のたんぱく質が固まったもの。チーズの一歩手前の段階とでも考えればいい。

僕はカナダの旅の最中に初めてチーズカードの存在を知った。味はチーズというほど濃くはなくて、そこそこ塩気がある。まだ熟成させてないからだろうか、かなり軽い味のチーズ、といった感じ。

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結構、弾力があって、歯がチーズカードにあたると「キュッ、キュッ」というか、「キシ、キシ」というか、独特の音がする。なんでも、この音がすることが新鮮なチーズカードの証明なんだそうだ。

カナダ全土でおしなべて、かどうかは分からないけれど、ケベックに住む人たちは結構、スナック菓子をつまむように、おやつ感覚でチーズカードをつまんで口に放り込んでいた。

酪農やチーズづくりが盛んなケベックだからこそ、という側面もあると思う。

もう1つのグレイビーソースは、言わずとしれた肉汁から作られるソースだ。フライドポテトとチーズカードに、グレイビーソースをかけまわす。これがプティンの「基本形」だ。

さて、プティンが実際にカナダ人にどれぐらい愛されているのかを知るために、僕は日本のカナダ観光局にお願いして、知り合いのカナダ人にプティンが好きかどうか訪ねてもらった。

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僕が一番、秀逸だと思ったのは、ナイアガラ・ヘリコプターに勤務するアナ・ピアースさんという女性の回答だ。

彼女によると、プティンは「すべてのカナダ人に対する神様からの贈り物」なんだそうだ。

そして、プティンのいいところは、なんと言っても「1回食べれば、もう1週間分のカロリーを摂取できる(笑)」ということ。

さらに彼女はこうも言っている。「こんなに健康に悪いんだから、美味しいに決まってるじゃない。プティンのどこをとっても体に悪いことだらけ!」

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これだけ本音で回答してくれたので、別に頼まれたわけじゃないけれど、ここで写真を掲載して彼女が勤務するナイアガラ・ヘリコプターの宣伝をしておきたい。

そもそも、人間という生き物が誘惑にかられる場合、それは常に危険を伴うものだと思う。例えば、いつの間にか空っぽになっているワインボトルとか、別腹に入っていってしまうスイーツとか、気づいたら袋だけになっているポテトチップスとかー。

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もう1人、素晴らしい回答を紹介したい。ケベック州政府観光局のロック・パケットさんという男性だ。

「プティンは好きかって? もちろん!特に午前4時に食べるのが最高。モントリオールで夜通しバーを『はしご』した後、最後に食べるんだ。プティンが好きじゃないって奴なんていないだろ?」

どうやらプティンは、日本でいうところの飲んだ後の「シメのラーメン」みたいなものらしい。

きっとプティンという愛しい悪魔は、真夜中に酔っぱらいのカナダ人の耳元でこんなふうに囁くんだろう。「アタシを素通りして家に帰るなんて、アンタそれでもカナダ人なの?―」

そんなふうに誘惑されたら、日本人だってカナダ人だって、そりゃ意地でも引けないよなあ。

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